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2011年2月25日

『家出のすすめ~満4歳の旅立ち~』(情報マガジン Vol.316 2011年3月号より)

内容

「人間は、それまでの人生で体験したことを全て記憶していて、決して忘れることはない。脳内の記憶を司る部位に全ての記憶がしまわれていて、何かのきっかけでふと思い出される。忘却とは脳にしまわれている記憶を取り出す術がない状態のことを言う。」と何かの本で読んだことがあります。本当かどうかはわかりませんが、興味深い内容です。
ところで、みなさんが思い出すことのできる記憶の中で、一番古い記憶は何でしょうか?
私の一番古い記憶は4歳の春の記憶です。理由は思い出せないのですが、母親にひどく叱られ、「あんたはうちの子じゃないから、出ていきなさい。」と強く言われたことに腹を立てた私は、「それじゃあ出て行く!」と風呂敷に1日分の着替えを詰めて勢い良く家を飛び出しました。
夕暮れ間近だったと思います。補助輪付きの自転車に乗って、東に向かって颯爽とこぎだした私は、50m程走って後ろを振り返りました。心配そうに見送る母の姿を想像していたのですが、玄関先には誰もいません。失望と心細さをかき消すように私は一気にペダルを踏みこみ、スピードをあげました。更に50m程進んだ所に空き地がありました。私はそこに自転車を停め、「絶対に帰るものか。」とひとり地面に腰を降ろしました。
とても長い時間が過ぎたような気がしました。辺りは薄暗く、近所からは夕げの匂いが漂ってきます。
「食べ物を持ってくるのを忘れた。取りに帰ろうか。」と迷っていた時、母と兄が空き地に現れました。「家に帰るよっ。」笑いながら呼びかける母の一言に、私は即座に自転車にまたがり、3人で家路につきました。
たった1時間の家出体験。きっと当時の私には世界旅行にでもでかけるような一大決心だったと思います。
その頃住んでいた家も空き地も今はなく、母や兄とも離れて暮らしています。もちろん補助輪付きの自転車は、もうありません。でも、このエピソードを思い出すたび、家族の絆の大切さをあらためて感じ、あたたかい気持ちになれるのです。(かたくら/ボラセンジャー・アイボリー/January.25.2011)

◆ちよだボランティアセンター情報マガジン「ボランティア」
 Vol.316 2011年3月号(2011/2/25発行)より

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